趣旨文
 
東洋大学仏教青年会
 
(Young Mens' BuddhistAssociation)
 

設立趣旨

 

 学祖井上円了は、仏教思想を基調とした哲学教育の必要性を痛感し、多くの社会人の学び舎として、東洋大学の前身である哲学館を開きました。この建学の理念は現在も脈々と東洋大学に受け継がれています。しかし近年は、大学や社会のなかで仏教に親しむ機会が少なくなっており、また卒業生からも継続して学びたいという声が多数寄せられています。

 そこで今般、学生と教員有志により、本学に仏教会と仏教青年会を設立する運びとなりました。東洋大学仏教青年会は明治41年に設立され、昭和初期まで活動していましたので、およそ100年ぶりの再興となります。学生・社会人を問わず、研究会や講演会、合宿などを通じて、仏教の教えや文化に親しみ、互いが切磋琢磨し、連携と親睦の場となることを願っています。

 仏教青年会会長 櫻井宣明 

以上

 東洋大学仏教会
 
Toyo Buddhist Association
 

設立趣旨 

東洋大学は哲学を建学の理念とする.その建学以来の理念を実現するために,近年は共生を大学の理念に掲げ,複数の研究所やカリキュラムの中にそれを反映させている.

実際に組織としての教育や研究はかなり進展しているが,教職員や学生の士気や意欲という点で,哲学教育は実質的には必ずしも十全とは言えない.まして,社会的な貢献という点ではいまだ模索中である.まさに自戒の念を込めて,かく言わざるを得ない.

その根本的な問題は大学に起因すると限定されるものではないが,切り離して考えることも妥当ではない.少なくとも大学人として,研究や教育の場の中から哲学教育を再考すべき時がきているのではないだろうか.

特に学祖井上円了が理念として掲げた哲学は,仏教思想を根源としている.実際に円了の最後の著書である『奮闘哲学』には,哲学の具体的な姿は仏教であると述べてもいる.そして,哲学の目的は,向下門の哲学となるべきであり,それを「教外別伝の哲学」と唱えているように,仏教としての哲学の実効化に心血を注いだことは,その学を継承する我々にとって,よく知られていることである.まさに円了にとっては,哲学と宗教(仏教)は一つの体の両面なのである.

哲学が向上門を目指す道であることは当然であるが,その反対の方向性を持った社会への還元という側面を持つことによって,初めて哲学が意味を持つと言うことも忘れてはならない.その意味で,今ここでなされるべきことは,大学教育の中で活かされる仏教の可能性を探り,それを社会へと広げてゆくことであるだろう.

ただし,それは特定の宗派の広宣活動を目指すものであってはならない.哲学としての仏教という建学の精神を基調としつつ,仏教の指向する平和と人間の解放を目標にすべきである.確かに我々の力は脆弱なものに過ぎない.しかし,一つ一つの小さな目標を実現しつつ,大きな目的に向かって着実に歩んでゆく中にこそ喜びもあり,人生の意義を見いだすこともできると信ずるものである.今,東洋大学の中で,そのような活動を行うことができれば,我々一人一人にとって,大きな意義をもつものとなる.そのために組織的中核としての東洋大学仏教青年会の必要性を考えるのである.

現在の東洋大学には哲学や仏教の思想や文化を研究するサークルもあるが,それらは必ずしも有機的に連携してはいない.また,その数少ない仏教哲学系の組織はほぼインド哲学科の中に限られたものであり,広がりに欠けるきらいもある.さらには,インド哲学科の学生や大学院仏教学専攻の院生と連動した活動も十分ではない.それは明治41年(1908)に,閉ざされた組織が併存していた状況を背景に,東洋大学仏教青年会が発足した状況と似ている.しかしながら,当時に比すると,現在の我々の状況は,さらに深刻に思える. 

近年仏教を取り巻く環境は大変厳しい.確かに現在の仏教の状況は批判すべき多くの面も多くあるだろう.そのような状況では,たとえば卒業生が仏教のNPO活動を展開し,それを維持してゆくために社会に訴えようが,その主張を受け容れる眼差しはそれほど温かいものではない.また,組織としての大学に頼ってきても,横の連帯がないから,個人として対応する以外は何の力にもなれない.

まして,現状では大学の中で,在学生が仏教の思想を学んだり,生きた仏教の環境に直接触れて,親しみを持ったり,仏教の福祉活動に触れたりすることは稀であるし,授業を補完するような学年や組織を超越した研究会を持つことは決して簡単ではない.このような環境では,せっかくの多感な時代に仏教を学ぶ好機を逸してしまうこともあるだろう.

それ故にこそ,哲学や仏教の講演会や研究会などによって,お互いに切磋琢磨し,刺激しあって,仲間を造りながら研鑚すること.また,そのような活動を通じて,社会的活動に参加することができれば,人間形成にも資するであろうし,時には,大学の教員以外の経験豊かな智慧に触れ,年齢や経験を越えた学びの場があれば,さらに大きな成果があがるものと思う.

そこで対外的にも学内においても,哲学や仏教の学術および文化的活動における横の連携をとり,かつその運動の核心となるような卒業生や教職員を含んだ縦の連帯組織が是非とも必要であると思い致すようになった.

そこで学生や教員有志と協議しながら,在学生の組織である仏教青年会(Young Mens Buddhist Association @TOYO: YMBA@TOYO)に加え,仏教青年会を支援し,仏教青年会とともに活動してゆく教職員や卒業生からなる組織をつくることになった.それが東洋大学仏教会(TOYO Buddhist Association :TBA)である.

本会は学生サークルとしての仏教青年会とともに,哲学と仏教の研究を行い,仏教精神にもとづき,ともに学び,社会に発信するための組織である.そして,この趣旨に賛同される方は,どなたでも入会できるように,門戸は常に開け広げてある.この意を汲んでいただき,志ある人たちの参集,ご支援を心よりお願い申し上げます.

合掌

 

2008年4月1日

                       仏教会会長 渡辺章悟

東洋大学インド哲学科教授

 

<発起人>

伊吹 敦・岩井昌悟・川崎信定・河村孝照・木村得玄・清水乞・菅沼 晃・竹村牧男・田村晃祐・沼田一郎・橋本泰元・宮本久義・森 章司・山口しのぶ・渡辺章悟(五十音順)